人の血を吸い、眠れなくなるほどのかゆみを引き起こすトコジラミ。繁殖スピードが非常に速く、自力で駆除することが難しいことから、ノイローゼになってしまう人もいるほどの厄介な虫です。

そんなトコジラミが最近フランスで大量発生し、社会問題となっていることをご存知でしょうか。本記事では、フランスでのトコジラミ大量発生の理由や、旅行に行く際に気をつけたいことを解説します。

フランスでトコジラミの大量発生が問題に

自宅、学校、公共交通機関などさまざまな場所でトコジラミが発生

パリを中心に、フランスでトコジラミが大量発生しています。フランス食品環境労働衛生安全庁が実施した調査によると、2017年〜2022年の5年間で、なんとフランスの10世帯に1世帯以上がトコジラミの被害にあっていたとのこと。

被害は一般家庭に限りません。最近、ホテルなどの宿泊施設、映画館や高速鉄道、地下鉄車内でトコジラミを目撃したという情報がSNSで出回っており、各関係者は謝罪や消毒作業に追われています。トコジラミ駆除のため、休校になった学校も相次いでいます。

トコジラミ問題についての政府の対応

ありとあらゆる場所で大量発生し、住民や観光客をひどく苦しめるトコジラミ。特にパリは2024年夏にオリンピックを控えており、国内外から多くの選手や観客がやってきます。このままだと、パリから世界中にトコジラミを広げてしまうことになりかねません。

こうした問題を受けて、10月3日、フランス国民議会ではトコジラミに関する議論を実施。大統領与党連合は、駆除に関する新たな法案を年末までに出すことを表明しました。

トコジラミの大量発生はなぜ起こった?

早急な対応が求められるトコジラミ問題。そもそも、フランスでここまでトコジラミが蔓延した理由は何でしょうか。

海外からの旅行客や移民が持ち込んだ

トコジラミは飛ぶことができず、這って移動するしかありません。そのため、トコジラミは主に人間が気づかないまま持ち込むことによって広まると考えられています。

例えば、トコジラミが発生している宿泊施設に泊まった人がいるとしましょう。トコジラミは夜のうちに活動し、宿泊者の荷物の中に潜り込みます。その人が翌日、地下鉄を利用して移動することにより、車内にトコジラミが侵入。乗客の血をエサとしながら繁殖したトコジラミは、また他の乗客の荷物に潜り込んで別の場所に移動し、どんどん増えていく……といったケースが考えられます。

近年グローバル化が進み、海外からの旅行客や移民が増加したことにより、国境を超えてトコジラミが持ち込まれるようになりました。特に、フランスは外国人旅行者数が世界一の国。沢山のトコジラミがフランス国内に侵入し、各地で被害を蔓延させ、それが世界中に広がる……という、恐ろしい事態を引き起こしているのです。

海外からの荷物にトコジラミが付着していた

グローバル化が進んだことにより、人間だけでなくものの行き来も盛んになりました。海外から受け取った荷物にトコジラミが付着していたことにより、被害が広がるケースもあります。

特に、海外から取り寄せた中古の家具はトコジラミが棲み着きやすいため、特に注意する必要があります。

トコジラミの大量発生は日本でも起こりうる?

フランスのトコジラミ問題について紹介してきましたが、これは他人事ではありません。トコジラミの大量発生は、日本でも起こりうることなのです。

コロナ禍の渡航制限が緩和され、海外から日本に来る人の数が回復しつつあります。それに伴い、トコジラミが蔓延するリスクも高まってきました。

実際、トコジラミの相談件数はどんどん増えています。市役所、保健所などの行政機関に来るトコジラミの問い合わせは、入国制限の厳しかった昨年(2022年)と比べて1.5倍に増加しているとのこと。今後ますます日本を訪れる人が増える中で、いつトコジラミの大量発生が起こってもおかしくないのです。

トコジラミ被害を防ぐため、海外旅行で気をつけること

フランス旅行や出張を控えている方の中には「トコジラミの被害に遭ったらどうしよう」「トコジラミを日本に持ち帰ってしまわないか心配」と不安を感じている方もいるのではないでしょうか。トコジラミを日本の自宅に持ち帰らないために、フランスに限らず、海外滞在中は下記のことに気をつけてみてください。

  • カバンはホテルの床やベッドの上ではなく台の上に置くようにする
  • 宿泊先に着いたら、まずベッドやソファにトコジラミの痕跡(抜け殻、血液の跡など)がないか確認する
  • 帰宅したら、衣類はすぐに洗って高温乾燥機にかける
  • 地下鉄などの公共交通機関でむやみに座らないようにする

ただ、上記を徹底しても、トコジラミの侵入を完全に予防することはできません。トコジラミが蔓延している地域では、どんなに気をつけて清潔にしていても、誰しもが被害にあう可能性があるのです。

トコジラミの被害にあったら、早急に専門業者に駆除を依頼すべき

では、トコジラミの被害にあってしまったら、どう対処すればよいのでしょうか。

トコジラミを一般の人が自力で駆除するのはほぼ不可能です。また、繁殖スピードが速いため、少し放置しているだけでどんどん増えていきます。トコジラミを見つけたり、トコジラミの被害にあったら、すぐに専門業者に駆除を依頼しましょう。

わたしたち大洋防疫研究所は、これまでに2,600件以上のトコジラミ駆除をおこなってきた害虫駆除専門業者です。豊富な実績に裏付けられた実力で、他社では駆除が難しい現場も一回の施工で完全駆除が可能です。週刊新潮2023年10月19日号には、トコジラミ駆除について、弊社代表取締役のコメントが掲載されました。

トコジラミを自宅に持ち込み、放置して家全体に繁殖が広まってしまうと、駆除にかかる費用も増加してしまいます。少しでも「トコジラミかな?」と思った時点で、お早めにご相談ください。